月に1〜2回は魚釣りを楽しんでいるが、今日も朝3時に仲間と一緒に自宅を出発した。行き先はもうこの5〜6年は敦賀湾の沓に決めている。遅れることなく予定時刻に出発し名神、北陸道を走り順調に敦賀インターに着いた。インターから最も近い釣り餌屋で石ごかい、オキアミ、アミブロック、氷を仕入れ、コンビニエンスストアで弁当、お茶、ビールを迷うことなく買い、4時30分には沓の民宿に着いた。貸しボートが砂浜に用意されているが、予約制ではなく勝手に乗って帰るときに使用料を払うことになっている。どの船でも良いわけでなく釣り人はお目当ての船を求めて早朝にやってくるが、今朝も我らが一番乗りで船外機を取り付けられる船を確保した。天空には多くの星が輝きオリオン座が頭上に見られ、東の空には明るく金星が光っている。沓は3方が山に囲まれ風に強い釣り場で鯛の養殖が盛んで、いかだの周りでは真鯛、サンバソウ、ボラ、ホンハギ、キス、鯵などが釣れて楽しめた。特に5〜6年前には25cmほどの鯵が行くたびに大漁でその後に釣りは沓と決めている。しかし最近は潮の流れが悪いのか養殖いかだは減り、釣れなくなったので数年前より潮通しの良い沖合いに行くようになった。今朝は南風がやや強く波が打ち寄せ沖合いに行くのは危険であり、空がしらじらしてうす明るくなって出発したが、波は強く潮をかぶりながらゆっくり船は進み5時ごろに釣り場に着いた。まだ薄暗いが東の空が明るくなり明けの明星が白く見える。風が強く船は波に揺れ不安もあり気を落ち着けてゆっくりと釣り始めることにした。キス釣りの仕掛けを用意して1投目、すぐに大きなあたりがありリールを巻くが上がってきたのはトカゲエソとシロサバフグでがっかり。昨年からこのトカゲエソが釣れだし釣れたエソを船で干物にして家に持ち帰り食べたが、焼いている時の香りが良くておいしかった。さかな大図鑑によれば小骨は多いが味は悪くないと書いてあるが、この不気味な顔を見ると反射的に捨ててしまった。投げればすぐに手ごたえがありキスが釣れるがピンクのきれいな色をしたキスでなく白っぽい痩せたキスである。今年の春から初夏には20cm以上のキスが沢山釣れて当たり年であったが今は季節外れかなんとなく元気が無く小型ばかりである。中にはうろこが剥がれて赤くなって瀕死の状態で釣れて来るキスもいるが、おそらくトカゲエソが飲み込んだに違いないと思っている。キス釣りにはネズッポ科のコチが一緒に釣れるがこの海では釣り上げた時に悪臭を放つヤリヌメリが釣れてくるので大変である。異臭がタオルに染み付くと洗っても消えず,鼻についた臭いは虚脱感をもたらし釣る気力を失わせる。朝の30分は昼間の3時間と言われる「朝まずめ」は良く釣れたが、太陽が昇ると当たりは遠のいたので釣り場所を変えるが釣れてくるのはイトヒキハゼで青い点状の班があって美しいが大きな顎で指を噛む愛敬物である。このハゼが釣れだしたら何もつれないと判断することにしているので弁当を食べる。二羽のかもめが鳴いて食べ物を催促するのでご飯、ハンバーグを投げると沈む前にあわてて食べる。釣った外道のベラを投げると足でつかんで持ち去って行くがシロサバフグ(毒無し)には見向きもしない。さびき釣りで鯵を狙うが当たりも無く待っていると、大きな魚の群れが見えたのでオキアミを撒いて引き寄せ長いハリスに餌をつけて流すとすぐに釣れて海面を飛び跳ねた。身が薄く嫌われ役のシイラ(幼魚)であるがキープしどんな味がするか食べてみることにした。思いがけない外道は最高に楽しい。釣れずにボーとしていると無駄な遊びの思いが出てきて自己嫌悪になることがあったが、釣りから帰って血圧を測ると正常値に戻っているので今は「釣りバカ」は良しとしている。年によって釣れる魚の種類が異なり予測がつかないのは、「雄大な海のことは何も分からない」と理解することにしている。しかし確実に魚は減っていることは事実である。以前はメジナ(グレ)、イシダイの幼魚が群れになって泳いでいたが年々数が減りこの3年ほどはまったく見られなくなった。海の透明度が悪くなっているようで環境汚染のためであろうかと心配である。外道で嫌われ者のベラは例外で数は減っていないことより、釣り人による乱獲も関係している可能性は十分にあると思っている。南氷洋のオキアミ漁の70%が餌として海に撒かれており、大好きなオキアミに魚は集まり能率よく釣り上げられ釣り荒れが生じている。オキアミは安定して供給されており釣り餌制限は望めないので釣り人のモラルが頼りである。10年ほど前には釣れた小魚、カニ、エビ、巻貝を持ち帰り水槽で飼って楽しんだ。マダイは順調に育ち大きくなったのでまた元の海に返したがグレ(メジナ)は闘争が激しく人間の社会を見ているようで可哀そうであった。10匹ほどを水槽に入れたが、餌を与えると激しく食べる強い2匹(これも順位がある)と餌を食べにくるがいつも強い2匹に追い立てられ体に傷がつき大きくなれない2匹がいた。出てこなければいじめられないのに、どうしようもない決められた運命の2匹は早々に他界した。岩陰に隠れてその場所をほとんど動かず目の前を流れた餌だけを食べる成長の悪い2匹がいたが目をきょろきょろさせ警戒心が強かった。大きな強い2匹に攻撃されるが追いまわされず、さっと上手に逃げる4匹ほどのグループがいた。最強の2匹は餌を食べながら目に入った仲間を攻撃しまた餌を食べる忙しさで体は大きく立派に育ったがストレスが多く水面に浮かんでしまった。4匹ほどのグループはいじめがあったか否か忘れたが、結局は隠れて警戒心の強い2匹が生存競争に勝ち残り、身につまされる思いであった。
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